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扉をたたく人

先日『扉をたたく人』を観た。
久々に映画館で見たこともあるけれど、見た後の余韻がしばらく続いている。

アメリカ映画。ピアニストだった奥さんを亡くし、20年も講義の
内容を変えないままに確立された地位の中で空しい日々を送る大学
教授とひょんなことから彼の家に居候することになるパレスチナ人と
アフリカ人の移民カップルとその母親が主人公。パレスチナ人の彼は
ジェンベ叩きで夜は街中のジャズクラブで、そして昼間は公 園で仲間と
セッションしている。アフリカ人の彼女は自分で創ったジュエリーを
マーケットで売っている。

この異次元の世界に住む登場人物達が出会うことで、『生きる』という
普遍的なテーマが浮彫りになってくる。

大きなテーマの中にいくつもの切り口が用意されていて、多面体の球の
ような構成だった。きっと、観る人によってどこの面が響くか違って
くるのかなと思う。

私はその大学教授が慣れきった心のあり方やそれとともに過ごす日常
から抜け出していくプロセスが響いてきた。エゴイスティックなあり方
が一つ一つを受け入れていくことで、彼の心の根っこにわずかに灯って
いた生きることへの渇望の灯を大きくしていく。それは、単調なドラム
のリズムに他の人の奏でるリズムが重なり合ってやがて大きな渦ができ
るかのように。クライマックスでは彼の腹からの叫びがストレートに響
いてきた。

そこに絡むのが9.11をきっかけに表出した『アメリカ』という国の
エゴ。「自由の女神」にはしゃぐ移民カップルの思い出話が痛々しい。
一人ひとりの魂は自由であるはずだけれど、「国籍」や「民族」を背中
に背負った途端に個は抹消される。それは、あたかも個としてつながっ
た絆など、全く無意味であるかのように。

最後はハッピーエンドでも絶望でもない。また、単調なリズムの中に
戻っていく。でも、そこにまた誰かが絡んでくるかもしれないという
予感を持って。

それは、彼が音楽を手にしたから。その灯は消えることがないのだ。

なんだか、とても静かにでも力強く背中を押してくれるような、
そんな映画。

お勧めです。 『扉をたたく人』公式ページ↓
http://www.tobira-movie.jp/
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